令和4年に実施した、第5回西遠都市圏PT調査結果を一部紹介します。
 更に詳しい結果につきましては、『西遠都市圏の概要 第5回西遠都市圏パーソントリップ調査(速報)から』をご覧ください。

 ⇒『西遠都市圏の概要 第5回西遠都市圏パーソントリップ調査(速報)から』

高齢者自動車利用率の上昇

 過去の調査結果では、西遠都市圏の居住者の方は移動時の交通手段に自動車を利用することが多いことがわかっていました。今回調査でも、自動車の利用割合が約72%と、第4回調査から3.4ポイント上昇し、自動車利用の割合が高まっている状態が明らかになりました。

▼代表交通手段別分担率

代表交通手段別分担率
※他、不明3.1%
※第1回~第5回の調査結果(平日)より作成

 年齢階層別に自動車での移動の変化を見ると、第4回調査から第5回調査にかけて、65歳未満では自動車による移動回数が減少している一方で、65歳以上の高齢者では増加しています。
 特に、女性では、第4回調査から第5回調査にかけて、前期高齢者で86%、後期高齢者で133%の増加率となっています。
 過去15年間で、高齢者女性の運転免許保有率が高まり、自動車利用機会が拡大していることが、この原因のひとつとして考えられます。

▼年齢階層別自動車トリップ数(移動回数)の変化率             ▼女性の年齢階層別運転免許保有率

年齢階層別自動車トリップ数(移動回数)の変化率、女性の年齢階層別運転免許保有率
※第4~5回調査結果(平日)より作成

外出率の推移

 過去の調査では、外出率(調査対象日に外出した人の割合)は上昇傾向にありましたが、第4回調査から第5回調査にかけては、どの年齢階層においても低下しています。
 特に20~64歳での外出率の変化が大きく、西遠都市圏においても、近年のインターネットショッピングやオンラインサービスの普及、新型コロナウイルス感染症の流行による外出自粛、リモートワークの普及などの影響が及んでいると考えられます。

▼年齢階層別の外出率

年齢階層別の外出率
※第4回、第5回の調査結果(平日)より作成。
※第4回調査の範囲に合わせて第5回調査結果を算出。
※端数処理のため、表示されている数値と合計が合わないことがあります。

 また、運転免許保有の有無による外出率の差も明らかになっています。平日の運転免許有無別外出率を見ると、特に高齢者では、運転免許がある場合に比べ、ない場合は大きく外出率が低下しており、運転免許のない高齢者の外出機会が制限されている可能性があります。

▼年齢階層別運転免許有無別の外出率

年齢階層別運転免許有無別の外出率
※第5回調査結果(平日)より作成

活動量の減少と活動場所の広域化

 総トリップ数(総移動回数)は、第4回調査から第5回調査にかけて、55万トリップ(約20%)減少しています。このうち、西遠都市圏内での移動は56万トリップ減少している一方で、西遠都市圏内外での移動は2万トリップ増加しています。

▼総トリップ数の推移

※第4回、第5回調査結果(平日)より作成

 また、所要時間別にみると、20分未満での移動が大きく減少している一方で、40分以上の移動が微増しています。この結果から、生活圏内のような身近な空間での活動量が減少している一方で、広域的な活動が微増しており、活動量の減少と活動場所の広域化の傾向が読み取れます。

▼所要時間別のトリップ数

所要時間別のトリップ数
※第4回、第5回調査結果(平日)より作成

目的別の主な外出先の分布

 平日の通勤目的での移動は、浜松駅周辺部や大企業の本社周辺に特に集中しており、浜松市や磐田市では、中心市街地以外の地域にも広く通勤先が分布していることがわかっています。
 休日の私事目的での移動は、浜松駅周辺や大型商業施設の周辺に集中しています。

      ▼通勤目的の目的地分布                ▼私事目的の目的地分布

通勤目的の目的地分布、私事目的の目的地分布
※第5回調査結果より作成
※私事には以下の目的が含まれます
日用品の買い物へ、日用品以外の買い物へ、食事・社交・娯楽へ(日常生活圏内)、送迎へ、その他私事

就業者の産業別の移動傾向の違い

 就業者の産業別一人当たり私事トリップ数(私事活動による移動回数)を見ると、第二次産業従事者に比べて第三次産業従事者の方が、平日のトリップ数が多くなっています。
 一方で、休日では、第三次産業従事者に比べて第二次産業従事者の方がトリップ数が多く、特に買い物が占める割合が大きくなっています。
 この結果から、第二次産業従業者は、平日は自宅と勤務先との往復が中心で休日にまとめて買物等を行っており、第三次産業従事者は、平日にいくらか私事を済ませているという、ライフスタイルの違いが読み取れます。

▼就業者の産業別一人当たり私事トリップ数

就業者の産業別一人当たり私事トリップ数
※私事には以下の目的が含まれます
日用品の買い物へ、日用品以外の買い物へ、食事・社交・娯楽へ(日常生活圏内)、送迎へ、その他私事
※第5回調査結果より作成